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第1章 宣伝とは

「宣伝と扇動が明瞭であることが基本条件である。われわれが扇動と宣伝を展開するうえで奇跡をなしとげた、とわれわれの敵は言いもし、認めもしたが、このことは、われわれのあいだには多数の扇動者がいたし、多くの紙がつかわれたというように、外面的に理解すべきではなく、この扇動のなかにあった真理が万人の頭脳にしみとおったのだというように、内面的に理解すべきである。そして、この真理から目をそむけることはできないのである。……」(ロシア共産党第9回大会・中央委員会報告より――1920年3月29日)
 このレーニンの言葉をまつまでもなく、宣伝・扇動活動において何よりも重要なのは、扇動すべき内容のもつ真理=科学的な正しさである。これは主体の側から言うならば、共産主義的未来に対する不動の信念とこれに裏づけられた意識性――「獲得しよう」とする意識性である。有能な活動家を獲得し、労働者大衆を獲得し、そうして労農階級の未来を我々が獲得するのだという意識性がなければ、どんなに素晴らしい宣伝手段も意味をもたないだろう。宣伝・扇動とはつまり「獲得しよう」とする内面的意識を外面的に表現する為の手段なのである。
 したがって宣伝・扇動を最も効果あるものとするためには、まえがきにも述べた次のような作風を我々の間にうちたてねばならない。
宣伝・扇動における作風

各人が個人的にもつ知識・技術を同盟全体のものとしようとする意識

 同志たちの中には特殊な技術や知識を持った者が少なからずいることだろう。そういう知識・技術が当面の我々の活動に直接役立たないかに見えるからといって使われずにいるのはまことにもったいないことである。同志たちが持つそうした技術・知識を同盟の発展のために役立てようとする意識を我々は持たなくてはいけない。

新しい手段・多様な宣伝形態を研究・実験し大衆の反応に注意を払う

 これまで使ったことのない新しい宣伝手段の使用について、これをおそれることなく大胆に試み、大衆の反応を調べることは、効果的な宣伝方法を発見し党派闘争を有利に展開する上で重要なことである。
 先日「ドキュメント4.17」なる映画を見た。同時録音ではないが、音声も入ってたいへんによく出来たものだった。我々は映画報道技術にも手をつけ始めた訳だ。レーニンがその当時開発されたばかりの映画に注目した事はよく知られているが、こうした試みは失敗を怖れずどんどんやってゆくべきだろう。

各人の持つあらゆる問題意識・欲求を同盟内へ持ち込もうとする意識

「政治は同盟で、その他は個人的に」といった分業的考えからは生き生きとした青年同盟を築いてゆくことはできない。これは文化運動に深く関わってくることであるが、青年大衆のもつ多様性を包含できるような青年同盟を建設してゆくために、我々の欲求・問題意識を同盟を通じて解決してゆこうとする意識を持たねばならない。
 例えば、同盟内部、或いはその周囲に合唱団を組織し、さらにブラスバンド、ジャズバンド、やがてはオーケストラを組織してゆく。山岳会を組織し同好者に呼びかける。地区でハイキング、地区対抗の野球大会。創作家たちのための文芸雑誌の発刊等々……。
 各人の献身性は組織を支える重要な力であるが、それは各人の欲求を抑圧し上級機関の指令を遂行するだけのこととはおおいに違う。青年同盟の発展は、各人の意欲と主体性とにかかっているのである。
宣伝5原則3項注意
 宣伝が大衆の心に浸透する充分に効果的なものとなるために宣伝活動にあたっては次の諸点に注意しなくてはいけない。

宣伝5原則

(1)順応性
「……扇動の方法は、個人的・地方的な諸条件に適応させられなければならない。扇動では、扇動家の一人ひとりにその駆使する手段の選択を一任すべきである。……扇動は、扇動家に順応させられるとともに、聴衆にも順応させられなければならない。扇動家は、自分のいうことが理解されるようにみな話をしなければならない。扇動家は聴衆がよく知っていることがらから出発しなければならない。……馭者と話をするときには水夫を相手とするばあいとはちがった仕方で、水夫と話をするときには植字工を相手とするばあいとはちがった仕方で話さなければならない。……」(カール・カウツキー)
(2)論理性
 簡けつで平易なことば・主語と術語の関係がはっきりした文章を使って理論的に闘いの展望をうち出すようにつとめる。また、論敵との相違点・一致できる点を明確にし、聴衆が自ら判断できるように話す。
(3)機敏性
 情勢が激しく動いている時、これに適確なる判断を下し、機敏に対処できるかどうかが組織の能力を計る一つの指標となる。
 田中角栄が逮捕されたその日の夕方、これを伝える「世界革命」号外が街頭で配布された。又、春闘ゼネストの期間中、刻々と変わる情勢を伝える日刊「世界革命」が労働者の手許に届けられた。こうした活動はきわめて重要であり、地区、職場、学園においても個々の状況に応じて行ってゆかねばならない。
(4)具体性
 客観的資料に基いた宣伝は大衆に「なるほどその通りだ」という確信を与えるものである。また、絵や写真を活用した視覚的宣伝は見る者の胸にシビアにひびいてくる。
 資料と漫画を載せ、「特昇制粉砕」をうったえた共青同全逓班協のビラや徐兄弟の釈放要求キャンペーンにおける徐勝の悲惨な写真など。又、「1970年度の鉄鋼生産高はこれである」とか、「レーニンは『国家と革命』においてこのように語っている」といった、具体的資料を駆使した宣伝など。こうした宣伝をなし得るために活動家は資料収集と学習、更にいくつかの文章や数字について演説前には暗記しておく必要もあるだろう。
(5)系統性
 宣伝は誰も知っていることがらから常に始められるとは限らない。その意味で、宣伝は教育学の要素も含んでいるのである。こうした宣伝は長い時間をかけて系統的に行なわれなければならない。サークルで発行される機関紙誌や単一の闘争課題について定期的に出版されるパンフレット(バクロシリーズなど)による宣伝、連続講演会などが効果的。

3項注意−宣伝に迫力を

(1)大量であること、粘り強いこと。
(2)誰でもほしくなる美しさ。
(3)行動への呼びかけを入れる。
宣伝手段の分類
 我々が現在掌握している宣伝手段を次の四つに分類し、以下、各項目ごとに論じてゆきたい。これらの四つの手段がそれぞれの闘争課題に向けていかに有機的に組み合わせて使用されるのかが鍵。
(1)ビラ・パンフレット・機関紙。
(2)ポスター・ステッカー
(3)立て看板・横断幕・旗
(4)演説

「青年戦線」第2号表紙

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