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国際革命文庫 3

日本革命的共産主義者同盟
第四インターナショナル日本支部
中央委員会編

3

電子化:TAMO2(先輩・故福島慎一郎氏の鎮魂のために)

「革命的暴力と内部ゲバルト」
――プロレタリア民主主義の創造をめざして――



内ゲバを追放せよ

 11・8早大闘争を全国の闘う学生の力で勝利しよう

 9月15日、神奈川大学で革マル派と解放派が醜悪なゲバルトを展開し、二名が死亡し、二十数名が病院に収容された。つづいて翌日には革マル派が三越デパート屋上で早大のノンセクト活動家を鉄パイプで襲い、さらに次の日鷺谷駅で革マル派と中核派が「衝突」した。こうして9月17日早大新学期明けをピークとして時と所を選ばずに異常なまでに新左翼党派は内ゲバを激化させている。
 われわれは、内ゲバ主義を大衆闘争の発展の観点から常に厳しく批判してきたが、今日の局面にいたってわれわれは強く主張せねばならない。内ゲバ主義はこの悪無限の袋小路に陥いり、ついに文字通り「殺し合い」にまで発展した。
 そして、その内ゲバは「党派闘争」のベールを捨てて、大衆闘争に向けられている、と。そしてまたわれわれは全ての闘う労働者、学生によびかける。内ゲバを実力で大衆運動から追放しよう。

●内ゲバは利敵行為であり戦闘的人民への犯罪である

 田中自民党政府をとらえ、追いつめた広範な戦闘的労働者・人民が一層多くの仲間を集め、拡げ、闘いを発展させ、彼ら自身の赤旗を高く掲げようとするこの瞬間に革マル派を元凶とする内ゲバ主義者どものゲバルトが連続的に行われている。十五日から連続してなされた三つの内ゲバは、あまりにも醜悪であった。十五日には二名が殺され、二十数名が入院した(重体が三名いるといわれている)。
 そして十六日には白昼公然とデパート屋上で凶行がなされ、十七日には、スト処分粉砕闘争をまさに準備していた国鉄労働者の闘いの眼前で「荒れる国電」とブルジョアジーが宣伝したゲバルトが駅構内で行われた。
 春闘によって国家権力とブルジョアジーを心底から恐怖させた労働者人民が、ミッドウェー号寄港阻止に立ち上ったその特に内ゲバがなされた! 神奈川県評青婦協がミッドウェー闘争に職場の仲間とともに決起しようとしたその時に、この内ゲバは闘いに水をさした。全国の労働者が職場の闘いを全国的に交流し学びあい、それを職場で実践しようとしたその時に、スト処分粉砕・スト権奪還の力強い闘いを労働者が職場で担おうとしたその時に、そしてまた、チリ・クーデターを「利用」して最左派狩りをなそうとする機会を共産党と人民戦線派がねらっていたその時に、そして新学期とともに不死鳥の如く大衆的な決起を準備していた早大生が公然と登場しようとしたその時に内ゲバがおこなわれたのである。
 内ゲバ主義者は、こうして真の戦闘的潮流の建設をめざす労働者人民に事実として重大な敵対行為を働いた。これほど明白な利敵行為があろうか! 内ゲバ主義者のこの行為は、百パーセント権力の意図に奉仕し、二重の意味で戦闘的人民を苦境に立たせている。一つは、国家権力の弾圧の強化をうながし、一つは人民戦線の枠に労働者をつなぎとめる役割を積極的にはたしたのだ。
 われわれは、怒りをもって階級闘争の損益計算書に記入しなければならない。この内ゲバは権力を歓喜させ、戦闘的労働者人民にたいして決定的な犯罪を犯した、と。
 われわれは絶対に内ゲバ主義者を許してはならない。戦闘的人民の階級的怒りで内ゲバ主義を絶滅しなければならない。

●革マル派の内ゲバは大衆に向けられている

 神奈川大学でのゲバルトと二名の死亡について、革マル派はこう説明している。「彼ら二人は非戦闘員だった。その非戦闘員を殺した青ムシはリンチ殺人の実行者である」「青ムシを撲滅せよ」と。彼らはいつもこうだ! ゲバルトの経緯を詳細に説明し「手を出したのは相手の方だ」と弱々しく「いいわけ」する。しかもきまって彼らがゲバルトに「負けた」時にのみこうした「事実関係」を強調するのだ。
 われわれは革マル派による川口君虐殺(彼は早大のごく普通の大衆の一人だった)を決して忘れはしない。そして川口君虐殺について革マル派が説明したことも決して忘れはしない。彼らはこういった「川口君はスパイだった。革マル派に敵対するスパイだった。」と。「非戦闘員」川口君を虐殺したのは革マル派だ! しかも明らかに党派的な私的なリンチによって!
 内ゲバ主義の元祖であり元凶である革マル派はその本質をはからずも暴露した。彼らにとって問題なのは、彼らがゲバルトに「負けた」ことだけで、「戦闘員の死亡は、ゲバルトの中ではあり得る」と、その内ゲバの目標を明らかにしているのだ。そして革マル派は川口君虐殺によって、そのゲバルトを「党派闘争」の手段から、明らかに大衆闘争に向けた。革マル派は血に飢えた鉄パイプを大衆に向けているのだ。山村政明(梁政明)君は七十年革マル派の連日のテロに憎しみを炎と燃やして焼身抗議自殺というあまりにも悲惨な死をとげた。川口君は革マル派の、「拷問部屋」と化した自治会室につれこまれ、鉄パイプで、キリで、言語に絶するリンチのすえに殺された。誰が誰を殺したのか! 革マル派が大衆を殺したのだ。何のために! 内ゲバの「神話」を維持するために、つまり革マル派の「力」に無理矢理屈服させるために。
 そして今なお早大の先進的学友は革マル派にねらわれている。尾行され、脅迫電話をうけ、「殺してやる」と鉄パイプをちらつかせながらどう喝され……。革マル派はこうして川口君虐殺糾弾闘争の中心的活動家の「ブラック・リスト」を作り上げているのだ。
 内ゲバ主義の元凶革マル派は、ついにその体系を行きつく所まで推し進めている。大衆闘争の力強い発展から必死で身を守るために見さかいなく大衆に襲いかかる牙、この牙だけが革マル派の党派的命綱となってしまった。
 革マル派は必死に内ゲバのため武器をそろえ、一人でも多くの大衆を傷つけ、殺そうとさえする。彼らは内ゲバの「勝敗」だけが気になる。勝ったときの口実と、負けたときの「被害者」を装う理由を、いまから注意深く準備している。内ゲバは至上目的とされ、この目的のために、全てを従属させている。武器をどううまく準備し、[どのように不意打ちを浴せ、内ゲバの戦果を「革マル派は恐しい」という心理を強制させるためにその思考の全てが回転する。だから、内ゲバによってその双方が犠牲を払うことを喜んでいる国家権力の作る筋書きに完全にはまりこんでしまっている。機動隊の弾圧体制の中でなぜ「思いどうり」に事が運ぶのか、事後弾圧がなぜ「思いの外に」軽いのか、革マル派にとって、この疑問は頭のスミにも上ってこない。何故か! 「敵」は対立党派であり、大衆なのだから。
 だが国家権力の筋書きは、革マル派にとっての「敵」「味方」を一拳に壊滅することにある、国家権力にとって、階級闘争内部の内ゲバほど好都合なことはない。国家権力にとっても、階級闘争の代表する「顔役」の要請にもとづいて、さっそうと登場する願ってもない舞台なのだから。事のついでに国家権力は内ゲバ主義者だけではなく、「平等」に全労働者人民の闘いに襲いかかり、その「顔役」にまで手をのぱす。これこそ国家権力の隠れた本心である。
 動は反動をよびおこす。テロは報復テロを招く。殺人が殺人を呼び、内ゲバの論理はこうして無限の敵対関係に双方をつかせて袋小路をかけまわる。
 内ゲバを実力で追放せよ。内ゲバに対し武装して大衆闘争を防衛せよ。この闘いはまず何よりも腹黒く徴笑えんでいる国家権力に向けられ、そしてまた内ゲバ主義の元凶革マルに向けられねばならない。

●内ゲバ主義党派はすべて同罪である

 だが、革マル派の「あまりにも度し難い堕落」をもって、あと一つの内ゲバ主義者を免罪してはならない。中核派、社青同解放派そして多くのノンセクト主義の諸君による内ゲバの論理にもとづいた革マル派とのゲバルトもまた、多くの労働者学生に絶望と不信をまきちらしているのだ。
 解放派の諸君は神大における革マル派とのゲバルトについて、労働者学生には一言も説明してはいない。また中核派も、彼らの隊伍にたいしては多くを語っているものの、あらゆる戦線で闘っている広範な人民にはほとんど何も語っていない。もちろんわれわれは詳しい事実は知らないし、知ることにどのような興味ももっていないのだが、「革マルせん滅」を第一義として打ち出しているならばこれはあまりにも「虫が良すぎる」というものではないか。
 こうした諸君が何故堂々と、内ゲバの戦果をではなく、革マル派の本質を大衆に明らかにしないのか。何故、大衆に闘いの任務を訴え、ともに進むべく働きかけないのか。
 彼らは決して語ることは出来ない。革マル派との抗争のなかで「革マル化」しているからであり、お互いに「内ゲバ」を交換しあっているからなのだ。自らのキャンパス支配を、内ゲバ=理不尽な暴力でしきり、この風潮を大衆闘争に流しこみ、それによって、学生大衆の学生運動への不信と絶望感を作り出しているからなのだ。革マル派の凶暴なテロに恐怖し、革マル派から組織を防衛せんがために対抗的手段をとり、革マル派のやり方を身につけ、大衆には「革マルを支持するのか否か」=「われわれのやり方を認めるのか否か」という思い上りもはなはだしい最後通牒的な「前衛主義」は、内ゲバがもたらす階級闘争への大衆の不信を助長しているのである。これらの諸君が「戦果△名、負傷者△名」と自分だけに通用する損益計算書にしがみつくならば革マル派と同列である。
 無条件に戦闘的人民に自己批判し、戦闘的人民の大衆闘争とともに革マル派を追放するのか、それとも麻薬のように組織をむしばみ人民をむしばむ内ゲバの論理に身をおくのか、彼らにとって選ぶ道は二つに一つである。だが、決定するのは戦闘的人民の大衆闘争である。彼らはすでに、人民にたいして、革マル派と同じ罪を犯しているのだから!

●内ゲバ追放――それは国家権力との闘いである

 今日内ゲバ主義者たちの果てしないエスカレーションは、戦闘的潮流を人民戦線派に対抗してしっかりと建設しようとする人々にとって、絶対に許すことが出来ない大衆闘争をむしばむ病原菌となっている。大衆を信頼し、その力によって勝利をかちとろうとする人々は、決して内ゲバの「華々しさ」や悲憤な「決意」に心を動かされることはないが、また、内ゲバ主義者に親切に批判と自己批判をすすめるだけでは、内ゲバの恐怖の絶頂にあるこれら内ゲバ主義者が絶対にその楯をすてないことも知っている。内ゲバは、まことに大衆闘争の発展にとって決定的な障害物となっているのだ。
 だから、大衆闘争を国家権力から防衛し、より発展させようとする人々にとって、内ゲバを大衆的に追放する願いは、(非生産的なことであるが)今日の任務となってきている。内ゲバについて第三者の立場をとるだけでは、これを利用して労働者人民の闘いを押し潰す国家権力の企みに手をこまねいてしまう結果になるからである。
 内ゲバを利用して国家権力は、労働者階級人民が国家権力に向ける暴力を一斉に取り締るべく、一切の報道機関を動員し、そしてその裏では、左翼の暴力に対し、右翼の暴力を準備するのだ。早大で右翼体育会が虎視旦々と学内制圧を目論んでいるのは、四〜七月の過程ですでに明らかになっているではないか!
 闘う広範な戦闘的人民が正しく内ゲバを階級闘争内部から追放するのか、それとも右翼の暴力によって階級闘争総体の拠点が潰されるのか。内ゲバを正しく追放する闘いは、かくして今日の課題となっているのである。
 われわれは、内ゲバを今日の如くにまで放置してきた責任の多くはわれわれにあると思っている。わがフランス支部の同志たちは、新左翼各派の暴力的敵対に幾度も遭遇しながら、それを監視する大衆的な闘いを作り上げた。のみならずその大衆的な闘いを積極的に共産党・人民戦線派の隊伍にまで波及させ、右翼ファシストの工場スト襲撃にたいし大衆的な武装を実現させている。そしてわれわれは、内ゲバを大衆闘争から追放する闘いの全権を責任をもって担うことを戦闘的人民に誓う。世界にはりめぐらされたスターリニストの個人と組織に向けられたテロと暗殺にたいし、数十万にものぼる戦士たちがその凶弾によって生命を奪われつつも、敢然と立ち向い今日力強くその力を階級闘争に根づかせた第四インターナショナルとトロツキズムの歴史をかけて、われわれは階級闘争と大衆運動の全利益を内ゲバから防衛し、国家権力から防衛して闘うことを誓う。その闘いは諸君によって担われ、その勝利する功績は、諸君自身に与えられる。
 内ゲバを大衆的に追放する闘い、それは、内ゲバ主義者の「寝ぐら」と「補給路」を断つことである。それは、労働者民主主義にもとづいて、反対派の存在を認めようとしない彼らの市民権を奪うことである。
 内ゲバ主義者を大衆の前で糾弾せよ。無条件の自己批判か、さもなくば追放か! 労働者民主主義に背を向ける彼らの罪は重い。徹底的に糾弾し、内ゲバの土壌を職場から学園から完全に打ちこわせ。戦闘的人民の団結を強化するために! 戦闘的人民を国家権力の前で放り出す共産党・人民戦線派の目論みを大衆的に暴露するために! そしてなによりも国家権力の弾圧と右翼の暴力的支配にたいして戦闘的人民の武装をかちとるために!

●早大闘争勝利――それが今日の決定的な闘いである。

 すでに、この戦いは多くの大学で開始されている。「殺したのは解放派だ」と首をとったように宣伝する革マル派をとりまき、糾弾する闘いが開始されている。「お前たちが二人を殺したんだ」「内ゲバが殺したんだ」「内ゲバを続けるのか」と革マル派に向って大衆の怒りはするどく発せられている。革マル派は立往生し、糾弾する中心メンバーになぐりかかっている。だが、ここにすでに内ゲバの土壌は破られ、「補給路」は断ち切られはじめている。彼らが最もおそれる事態は、こうして開始されている!
 内ゲバに一歩もひるまずに展開される大衆的糾弾は、彼らをしてその部隊を大学から引き上げさせ大衆と断絶させることによって一層内ゲバ主義に純化させようとする。だがそこに「力関係」は表現される。彼らのキャンパス支配の内ゲバの論理は大衆自身によって「無視」され、彼らの影響力は急速に一掃される。他方、この大衆的糾弾の前に彼らの「脱落者」は急速に増す。すでに早大の革マル派は昨年に比べ実に半数以上が「脱落」しているのだ。
 大衆から孤立した彼らは「一点突破」に望みをかけ、狂暴さを増す。大衆的糾弾の闘いもまた息つぎを与えないで彼らを追う。そして早大闘争は、決定的な闘いとなっているのだ!
 内ゲバ主義の最後の拠点として彼らが早大に居残るのか、それとも全国の闘いで早大から追放するのか! 革マル派追放! 当局徹底糾弾・早大学生運動再建!を鮮明に掲げた早大闘争の全国的全人民的な闘いの質はここにあるのだ。
 われわれはかつて川口君に誓った。「もし、われわれの決起が、あと一日、あるいはあと二日早かったならば、彼の死は避け得たのだ。弔旗をかかげよ! 前進せよ!」
 そしていま、全国の闘いによって、まさに実現するのだ!
 早大闘争勝利! 川口君虐殺糾弾! 当局糾弾・革マル派追放・11・8闘争勝利!
 真に大衆的で戦闘的民主的な学生運動の再建・統一を!
     「世界革命」紙一九七三年一〇月一日第三二〇号より所収


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