根津進司/著
出版元: 社会批評社 
四六判 248頁 並製
本体1700円+税

ISBN4-916117-66-2 C0036
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 はじめに
 
 ボクが、この本を書くのを思い立ったのは、自衛隊の実情を知ってもらいたかったからだ。自衛隊が創設されて以降、自衛隊について書かれたもの、報道されたものは、確かに膨大にある。
 が、そのどれも実情に迫っているとは、言いがたいように思う。メディアを通して伝えられるものは、その一部はともかく、真実も全体像も描かれてはいない。やはり、ここには二重にも三重にもフィルターがかけられている。
 自衛隊というのは、閉ざされた社会だ。この中は体験したものでないとわからないことが多い。第一、ここでは今なお、旧軍時代の言葉が飛びかっている。グンタイやセンソウなどの、戦後の国民には忘れられ無縁になった出来事が氾濫している。
 しかも、この十数年来、隊内の出来事を外部に伝えるのは、元陸幕長とか元統幕議長などの「軍事評論家」ばかりになってしまった。つまり、お偉いサンの考える自衛隊だ。
 もっとも、自衛隊がいかに社会から隔絶されているとはいえ、そこは社会の縮図。さまざまな庶民的楽しみも、苦しみもある。ボクがここで描きたいのは、庶民の目から見た自衛隊、いわば、ヘイタイさんの目から見た自衛隊だ。長い退屈な自衛隊生活の中で、ボクは、そのオモテもウラも見てきた。本書では、この自衛隊の実情を正確に描くことに努めた。
 この本の最初の版は、一九九五年に現代書館から出した。発行直後から、さまざまな反響、話題をよんだという。著者としては大変嬉しい出来事である。そして、本書の新装増補版をこのたび、社会批評社から出すことになった。
 この新装増補版では、当時と異なることには「補足」として、注釈を入れている。また、最近の自衛隊、自衛隊員をめぐる出来事についても、書き足している。読者の、とくに隊員たちからの批評をお願いしたい、と思う。

二〇〇五年五月一日 

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目  次

はじめに
第1章 シャバから隔離される新兵 13
    ●ポン引きにダマされて入隊 14
    ●現在もあるM検 16
    ●センシ記号の認識番号の付与 19
    ●入れズミ・性病の入隊は禁止、銃マニヤは歓迎? 22
    ●早メシ、早グソ、要領は旧軍の伝統 24
    ●耐えられない「三K」職場 26
    ●貯金と日記は上官管理 29
    ●脱走と脱柵、一字の違い 32
    ●ズッシリ重い小銃の貸与 36
    ●一膳メシとは情けなや 38
    ●「連帯責任」という名のシゴキ 41
    ●ポルノ写真も持てない私物点検 44
    ●「精神教育」という反共教育 46
    ●ノンビリ屋のうまい射撃 49
    ●地連募集の大ウソ 51

第2章 営内班の中はドブ 55
    ●ゴネ得で市ケ谷駐屯地勤務 56
    ●中隊長伝令という名の使役 58
    ●連隊長、師団長は雲の上の人 60
    ●自衛隊とラッパ 63
    ●貴様は、ラッパ様を見たか? 67
    ●「皇軍の伝統」を継承した内務班 69
    ●一発五万円の暴力 72
    ●警務隊はケンペイ 75
    ●貯金がたまるというウソ 76
    ●草刈り戦線異状なし 78
    ●婦人自衛官のウラ話 80
    ●意見具申を批判と受けとる上官 83
    ●「恒久平和」に驚く幹部 85
    ●三島由紀夫の亡霊 87
    ●正当防衛で撃てる弾薬庫歩哨 90
    ●駐屯地の中の将校ドノ 93
    ●ウヨクには務まらないグンタイ 95
    ●市ケ谷駐屯地雑感 97

第3章 駐屯地の外はテンゴク 99
    ●「税金ドロボー」と罵られた制服外出 100
    ●シンペイは「カゴの鳥」 103
    ●幼児のごとく扱われる陸士 105
    ●日曜下宿では規律は弛緩 107
    ●二四時間態勢下の外出と休暇 109
    ●お年寄りにモテる自衛官 112
    ●東京の中の自衛隊サン 115
    ●「通い婚」の陸士 117
    ●演習で夜学にも通えない苦学生 119
    ●片寄った自衛官の意識 121

第4章 演習場の中はドロまみれ 125
    ●昔も今もワラ人形への突撃 126
    ●ドコマデ続くヌカルミゾ 129
    ●銃を抱いて塹壕生活 131
    ●体でホウシする自衛隊 133
    ●人体実験でホウシするシンペイ 135
    ●原発事故で災害派遣? 138
    ●「T訓練」という名の暴徒鎮圧訓練 140
    ●自衛隊のゲリラ、レンジャー 143
    ●イヌ、ネコを食べる「レンジャー鍋」 145
    ●カナズチも泳ぎ始める水泳訓練 148
    ●最高指揮官に「カシラー、ミギ」 150
    ●衣食住はタダの自衛隊 153
    ●災害派遣は余技か? 155
    ●実戦化の中でクタクタのオジサン兵士 159
    ●戦地へ赴く! 応急出動訓練 161

第5章 駐屯地のウラはヤブ 163
    ●「ショクギョウ軍人」の教育 164
    ●グンタイの要・下士官 167
    ●将校ドノにはテンゴク 169
    ●エリート・防大生の危機 171
    ●調査隊はJCIAか? 173
    ●たるんでいる! 市ケ谷駐屯地 175
    ●鉄は熱いうちに打て―少年自衛官 178
    ●ツブシがきく? 施設アガリ 180
    ●海空自衛隊のウラ 184
    ●「職業病」に冒されたショクギョウ軍人 187
    ●予備自衛官という労働者 190

第6章 自衛隊の中はヤミ 193
    ●海外演習にはスキン必携 194
    ●強制保険で天下り 196
    ●センシ保険のナイ? 自衛隊 199
    ●バイトに精をだす医官ドノ 201
    ●年度末には食料の大量支給 203
    ●不祥事件にビクビクする幹部 205
    ●苦情処理をモミ消す幹部 207
    ●一〇〇%を誇る選挙の投票率 209
    ●クーデターはできナイ将校たち 212
    ●マスコミには模範回答を指導 214
    ●「特定隊員」から外された社会党、創価学会? 216
    ●ツブシがきかない自衛隊アガリ 219
    ●待遇改善で生き残れるか? 222
    ●人手不足で危機が深まる自衛隊 224
    ●「制服を着た市民論」の大ウソ 226

第7章 自衛隊の常識はシャバの非常識 229
    ●「弛緩」を「ちかん」と言う幹部たち 230
    ●多発する幹部の犯罪 232
    ●自殺者はなぜ激増したのか? 234
    ●放火と飲酒で大騒ぎの海自艦艇 236
    ●イラク派遣に「ネツボウ!」 240
    ●海外派遣は断れるか? 243
    ●ネット環境で「無風地帯」でナイ営内 247
 
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