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警察との会食問題と参加者への弾圧、WPN主催者の態度について
赤色土竜新聞第7号 2003.5.8

■「左翼」ということば

一般に「左翼」という言葉が気軽に使われますが、これはどの範囲の人々を言うのでしょうか?例えば思想が左翼的なひと、行動が左翼的(過激)なひと、主観的に「自分は左翼だ」と思ってるひと…といったふうにいろんな基準が考えられます。「左翼」の語は結局あいまいな位置づけで使われているんじゃないでしょうか。一般論として、例えばある程度「階級史観」によって世界を観ている人、または今日の資本主義経済のグローバリゼーション対して批判を持つ人も「左翼」に含まれるかも知れません。労働組合というものはそもそも雇用者である資本家に対して被雇用者である労働者が団結して作りだしたものですから資本主義に逆らう団体なわけで、その組合員は「みんな左翼」と考えることもできます。この1〜2年の間とりわけ首都圏で行われてきた反戦平和運動は大きく拡がり、現在ではおおきく分けて(A)労組(B)市民運動(C)CHANCE!系の三つの要素から成り立っていると思いますが、見方によっては「市民運動内部のごく一部に左翼がいる」と考えられます。しかし別の見方からは「CHANCE!系の一部を除いた全部が左翼」と見なすこともできます。おそらく警察は後者の見方をしているでしょう。結局「何が左翼であるか」の基準点の置き方によって見えてくるものがちがっているという事です。

■参加者の写真を撮りまくる人々

集会に参加するとわかるようにデモ隊の横には警官がつきます。警察側の判断によってこれが制服警官であったり武装した機動隊であったりします。しかしその他にも集会場出口付近から多数の私服のおじさんたちが手に手にカメラやビデオを持ちながら行進の横をついて来ます。そして参加者の写真を撮りまくってます。イヤホーンを付けてメモを取ってるおじさんもいます。反対運動が法律で定められた市民の権利であるにもかかわらず、まるで参加者を何か犯罪集団と思っているかのようです。勝手に写真を撮るなんて肖像権を踏みにじってます。何のためにこんな事をするんでしょうか?これが公安のおしごとだからです。公安と言っても警察に所属する公安と、警察とは別組織の公安調査庁というのがありますが、彼らの仕事の目的はそうしたデモ集団やそれに関連する人々の監視・調査などです。もちろん彼らの言い分では「左翼過激派を調査する」という事でしょう。でも、あらゆる市民が「あしたは過激派になる」かもしれないわけで、そもそもこんなデモに参加すること自体、「危険分子」への第一歩と警察・公安は見ているのですから集会参加者の全員が監視対象・調査対象です。「僕たちは左翼じゃありません。おまわりさん信じてね」とたのんだら見逃してくれるのでしょうか。そんなことはまずあり得ません。

■警察・公安のおしごと

公安のおしごとがどういうものかをもう少し説明します。集会参加者ばかりではありません。いろんな団体が主催するイベントや署名運動などに対しても公安は調査をします。その方法はいろいろあって、例えば集会に初めて来たような人に「撒かれていたチラシをできるだけ多く集めてください。1枚につき1000円払います」なんて事を依頼する。また例えば何かの署名をした人を尾行し「アルバイトしてみませんか」と声をかけ、署名した団体に加盟して仲良くなるように指示しその団体の情報を聞き出すことを依頼するという、つまりスパイですね。そういう事を依頼してきます。最初はお金などで吊る場合が多いようです。仲良くなると時々家にやってきて何かと面倒を見てくれたり食事をおごってくれたりお金も貸してくれます。キャバクラとかソープに誘ったりすることもあります。そしてやがて何か弱みを握られることになります。以上書いたことは全て実例によるものです。ある団体に関わっていた既婚女性が悩みにつけ込まれて肉体関係を結び、それをネタにおどされた例もあります。警察・公安は相手を道徳的にも堕落させ、それを利用してゆすり、スパイ活動などを強要するのです。人間を堕落させるのが彼らのしごとなのです。こういうたくさんの実例が「救援連絡センター」に報告されています。また社会批評社からも出版されています。

■警察がデモ規制をするのはなぜ?

日本は一応「民主主義」の国です。そして選挙の他にデモや集会も民主主義を実行する方法のひとつであり、法律で保証された重要な我々の権利のひとつです。だから政府が戦争参加を決めても我々は「集団示威行動」によって戦争に反対することができます。その際、本来警察は我々デモ参加者が安全に行動できるように交通規制などをするのが任務であるはずですが、実際にはそうではありません。警察のしごとを「法律を守らせる事」と思っている人は多いと思いますが、実際はちがいます。彼らのしごとは「政府の方針に国民を従わせる」ことであり、政府に反対する運動を押さえ込む事です。この実例はいくつもありますが、例えば30年前の相模原・ノースピア戦車阻止闘争がいい例でしょう。ベトナム戦争に対して日本はアメリカに協力し軍需物資の供給や兵器生産・修理などをしていました。戦車などがつぎつぎと横浜の村雨橋を通ってベトナムに向けて搬送されていたのですが、戦車の重さが橋の重量制限をオーバーしていた事がわかり国会で告発されました。この時警察はどうしたでしょうか? もし法律を守らせるのが警察の仕事であるなら、この重量制限を無視して戦車輸送を続けていた政府関係者を逮捕するはずですが、そんな事にはなりませんでした。たくさんの機動隊を出動させて戦車阻止運動をする側を取り締まったのです。また当時革マル派と中核派は険悪な関係にありましたが、この二つの党派がデモ行進していた時ちょうど相模原交差点で出会い、すさまじい内ゲバ戦がはじまってしまいました。警察はこの時何の規制もしないどころか、両者が近づいた時に機動隊を引き上げさせたのです。

■警察は高度な政治判断に基づいて行動している

当時、ベトナム反戦の声は世界中に拡がり、日本でも反対運動は盛んにおこなわれていました。相模原には米軍補給廠があり、ここで戦車の修理や武器弾薬の生産がおこなわれていました。たくさんの党派や団体がテントを張ってこの米軍補給廠を監視していました。相模原市民もたくさん見物に来て、運動にも参加していました。しかし中核派と革マル派との内ゲバのあと、市民は反対運動に対して態度ががらっと変わってしまいました。冷たい態度にかわったのです。あのとき両党派のデモ規制に際して、ほんの10分ほどでも時間をずらして規制すれば、あるいはほんの数十メートルでもデモコースを変更させれば、あのような衝突は避けられたでしょう。あれは警察側の巧妙な誘導によって両者が同じ時刻、同じ場所で出会うようにし向けられたのは明らかです。そして両者が出会った時、警察は退きました。そして両者は激突した。たくさんの市民が見ている前で。市民の「左翼不信」は一挙に拡がりました。反対運動が周囲の不信を買えば沈静していきます。警察の意図はあきらかです。「デモを安全におこなわせる」のではなく、政府の意向に背く運動を破壊し、政府の方針をスムーズに実現させるという高度な政治判断によって警察は動いているのです。そのためには左翼の内ゲバをも利用するのです。左翼の内ゲバに対して明らかに危険とわかっているのに放置していた形跡などはいくつもあります。警察はあらゆる方法を利用して運動を破壊しようとしているのです。警察のこうした政治的方針は現在も続いており、WPNに対しても例外ではありません。

■広瀬さんたちはなぜ狙われたか

今回の「警察との会食および忘年会」の情報は最初にどこからはいって来たのかが実は不明なのです。いったい誰が見ていたのでしょうか? 誰がこの事実を暴露したのでしょうか? 場合によっては警察自身からのリークの疑いもあります。もしそうなら、なぜこんなことをするのでしょうか? 目的はあきらかです。警察・公安がこうした集会やデモの参加者に対してどういう方針を持っているかはすでに述べてきました。また公安関係者のこれまでの動向から考えても、広瀬さんと警備関係者が「親しい関係」となり、「こっちにもっと警備をまわそうか?」「いいっすねー」というような馴れ合い的関係が形成されたのは決して偶然ではないと考えていいでしょう。警察は明らかに無防備な人々を意識的に狙っているのです。そして懐柔し「仲良し」関係を築こうとしている。その結果、「スパイ」として使えるかどうかはわかりません。それは本人たちの意志にもよりますから。しかしもうひとつの利用方法があるのです。「会食・忘年会」の事実を広めることによって運動体の内部に不信を抱かせる方法です。過去の警察の弾圧の実態を知っている人々(それは旧左翼関係者に多い)は当然会食の事実を糾弾するでしょう。警察関係者と会食するべきでないのは「運動の原則」だからです。一方、まだこうした過去の経験がなく警察の実態を知らない人たちはこれが重大な問題であることを自覚していません。ちゃんと説明しなければ「どうしてそんなに糾弾するの?」と思うのも無理はありません。そしてその気持ちはやがて「左翼への反発」に変わるでしょう。こうして運動体内部に相互の不信と亀裂が持ち込まれます。これこそ警察の思うツボ。われわれは警察の政治的作戦にまんまと引っかかっているのだといわねばなりません。

■デモ行進に対する主催者の責任

警察官もひとりの人間である、という人がいます。それは事実ですが、警察はそうした「人間性」さえも演出しわれわれを懐柔することがあることを忘れるべきではありません。一方では懐柔し、懐柔した結果を最大限利用します。また一方では弾圧し、集会に参加するのが何か「悪いことである」かのように演出します。そうした様々な作戦によって反対運動が拡がるのを阻止しようとしているのです。あの、写真を撮りまくる何十人もの公安関係集団はまさにわれわれを「犯罪者」あつかいし「証拠写真を撮ってるぞ。二度と集会に来るな」と脅迫しているのです。警察のこうした実態をぜひ深く実感してほしいと思います。昔はこうした注意は集会のたびに主催者側からありました。またどんな集会でも、救援連絡センターは必ず逮捕の危険と、逮捕された時の「完全黙秘」、ゴクイリイミオーイに電話し弁護士を要請することの権利について書かれたビラを配布したものです。救援連絡センターは「どんな思想・信条にかかわらず権力から弾圧された人々を弁護する」ことをモットーとしています。こうした姿勢は集会主催者にも望まれます。警察によるたったひとりへの弾圧も集会参加者全員への弾圧であり、戦争に反対するすべての仲間への弾圧なのです。われわれは団結して警察の弾圧に立ち向かわなくてはなりません。ヨーロッパでは巨大な反戦デモがおこなわれてきましたが、こうした考え方は日本よりもはるかに徹底しています。主催者の意図に反した行動をとる人々に対しては注意しますが、そういう人たちをも警察からは弁護し、弾圧に対しては抗議声明を出しているのです。しかし日本ではどうでしょうか? 主催者は逮捕された人々に対して何の対処もせず「個人の自己責任」として放置しています。これでは警察側は弾圧やり放題。あたらしくデモに参加しようと思ってきた人たちも恐くて参加できなくなってしまいます。主催者には呼びかけた者としての責任があるはずであり、警察の不当な弾圧から集会参加者を守る義務があるはずです。「考えが違うから仲間じゃない」という発想によって仲間を切り捨てる事は警察を喜ばせるだけあり、運動の発展の妨げにもなると思います。そのあたりの問題について、ぜひ主催者の方たちにも考えていただきたいと思います。

■関係サイト

救援連絡センター
http://kyuen.infoseek.livedoor.com/

反戦青年救援会
http://mypage.naver.co.jp/antiwar/

『公安警察の犯罪』社会批評社
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/shakai/top/38-7.htm

『キツネ目のスパイ宮崎学』社会批評社
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/shakai/top/51-4.htm

『公安調査庁スパイ工作集』社会批評社
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/shakai/top/46-8.htm

『公安調査庁マル秘文書集』社会批評社
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/shakai/top/43-3.htm

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