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BUNDのみなさんへ(4月6日当日のシンポジウムにおける議論から)
赤色土竜新聞第6号 2003.4.6

●はじめに

 02年の「検証内ゲバPART1」出版記念シンポジウムへの参加と小西誠氏からの内ゲバ問題研究会への呼びかけに応じて参加、そして「検証内ゲバPART2」への執筆者としての参加を経て4月6日の第二回シンポジウムに積極的に関わった者のひとりとして、ここにBUNDの指導的クラスの方々が多数参加下さったことに感謝申し上げます。このシンポジウムには執筆者とともに映画監督足立正生氏や戦後労働運動の牽引者であった樋口篤三氏をパネラーに迎えて開催され、有意義な対話の場を持つことができました。このような場をこれからも積極的に持つことによって、組織・運動体・個人が互いの問題を腹蔵なく語り合い、よりよい運動の前進をともに分かち合うことをめざしていきたいと思います。
 なお、当日私はまっぺん個人として「もぐら新聞号外」を会場に配布いたしました。この号外は「検証内ゲバPART2」の執筆者でありシンポジウム開会の挨拶をされた蔵田計成氏がBUNDからの「公開質問状」に対して個人の資格で回答した内容に対する反論を目的としたものであり、内容を見ればわかるように、蔵田氏が内ゲバ主義から決別していない事をつよく批判するものです。そしてその内容は12月に襲撃された白井氏と中核派との関係とともに、佐藤氏とBUNDとの関係にも関わっているものであり、当日もこの「号外」に対する批判が山根氏をはじめとして出されたと思います。その場で私は短い反論をおこないましたが、時間の制約もあってなかなか展開しきれない面がありました。こうした議論については今後も続けていきたいと思いますが、とりあえずここでも再度批判点を整理し展開していきたいと思います。

●BUNDは「内ゲバ党派ではない」か?

 山根さんから「BUNDは内ゲバ党派ではありません」と反論をいただいた件についてはその場で簡単に回答しましたね。内ゲバ襲撃をおこなった過去の問題について真摯に総括し自己批判しなければ、今やっていないからといって「内ゲバ党派ではない」と言う資格はないということです。具体例として、わたしは「PART2」における小林義也氏の証言と「PART1」における生田あい氏の証言をとりあげました(佐藤氏との問題は現在も続いているものですが別に論じます)。ご承知のように現在革マル派と中核派も内ゲバは行なっていません。機関紙上では相変わらず「反革命」「ファシスト」「うじ虫」などと言いあっていますが、公然とした内ゲバはおこなわれていません。しかし、それは現在の状況が許さないからおこなっていないだけで「内ゲバが党派にとって利益をもたらす」と判断すれば必ずまた内ゲバ戦が始まるでしょう。それに、内ゲバはそれを行使するという実行行為のみならず、その行使を許容する精神や正当化する理論の中に、特定の組織や集団が権力を独占するためには暴力によって他者を排除してもよいのだという思想が宿っていることに問題があるのです。そうであるからこそ、内ゲバを「現象」とか「行為」だけではなく、それを行使する主体の「思想」として糾弾する必要があるのです。私が「内ゲバ主義」「内ゲバ思想」という言葉を使うのはそういう意味があります。小林氏もこれを「体質」という言葉で表現していますが、同じ意味です。こうした思想を抱いている党派を「内ゲバ党派」と言ってもいいと思います。
 この「内ゲバ主義」「内ゲバ思想」「BUND体質」は、シンポジウム当日に会場であなたたちが配布したBUND機関紙、とくに1064号によく現れています。小林氏の写真、そして彼の女装姿の写真を大きく取り上げて、小林氏を「エロ事師」と揶揄する記事を掲載していますね。その記事内容も、ほとんど革マル派の機関紙にも匹敵する品格の無さを表しており、とても環境問題に真剣に取り組むNGOの機関紙とは思えません。こうした貧相な記事を掲載したことによって打撃を受けるのは、むしろ自分自身の方であることになぜ気づかないのでしょうか。それは自らが内ゲバ思想によって正常な運動感覚を失っているからに他なりません。こんな記事の書き方は自分のためにやめるべきです。また、BUNDは佐藤氏が警察にビデオを提出した事について批判していますね。私もそのような佐藤氏の行為は危険な挑発的行為であり利敵行為であると思います。たとえ批判者に対してであっても、集会参加者の人権は守られるべきです。ではBUNDの機関紙に小林氏の顔写真が大きく掲載されていたのはどういうわけなのでしょうか? これも公的機関紙を通じて顔写真をばらまいているのに等しい利敵行為なのではありませんか?「自分たちの人権は守られるべきだけど自分たちを批判するヤツの人権など踏みにじってもよい」ということなのでしょうか? ここにもBUNDの独善性と内ゲバ体質とがうかがわれます。
 こうした問題を見るとBUNDには今も内ゲバ思想が息づいていると言わざるをえません。現在のBUNDのみなさんの中には過去のことを知らずに「環境NGO」として活動している若い人たちも多くいると思いますが、それらの人たちのためにも、組織の指導的立場にあり過去の姿を知っている人たちは、組織についての総括をきちんとする義務と責任があるのではないでしょうか。まず総括と自己批判によって組織を根本的に見直していってほしいと思います。

●中核派からの恫喝にどう対応するべきだったか?

 五味さんから83年の中核派の恫喝に対して組織がとった行動についての弁明がありました。中核派から「獅子はネズミを殺すにも全力をつくす」と脅され、組織存亡の危機に立たされたと発言していましたね。しかし、それは中核派に対する謝罪の根拠となるのでしょうか? 中核派のような大きな党派に屈服しながら西田戦旗のような小さな党派に対しては内ゲバ的対応をとっていた事実が、当時その実行者であった小林氏から明らかにされています。「大きな党派には屈服し小さな党派を恫喝する」とはなんという卑屈で愚劣な行動でしょうか。これこそ内ゲバ主義そのものではありませんか。
 83年当時、中核派から脅迫されたのは戦旗派ばかりではありません。第四インターが当時どのような対応をしたかはご存じと思います。中核派から全国的な襲撃を受け8名の重傷者を出し、奪われた組織内部文書を一年ものあいだ機関紙『前進』紙上に暴露されるという卑劣きわまる利敵行為を受けながらも、第四インターは内ゲバに屈服することなく大衆的反撃を組織してきました。その闘いは現在も原則的に続けられています。同じ時期に同じ党派から内ゲバ恫喝をかけられたふたつの党派は、その対応によって明暗をわけました。大衆的利益よりも「組織温存」という利己的目的を優先し、そのために内ゲバ党派に屈服して組織を維持することと、組織的事情によって勢力を大きく後退させながらも原則的な内ゲバ反対の立場を貫き大衆的利益を優先することと、どちらの方が運動にとって大切なのか、それはこれから明らかになっていくでしょう。

●佐藤悟志氏もんだいについて

 当日配布した号外の中で私は佐藤氏の問題についての見解を述べていますが、言いたいことはそこでほぼ言い尽くされていると思います。佐藤氏の思想には同調できないし、彼の「ブントストーカー」的行動にも賛同できません。しかし、BUNDの皆さんには佐藤氏がなぜこのような行動を繰り返してきたのかについて、組織的責任の観点からもういちど真摯に考えていってほしいと思うのです。山根さんはわたしの「内ゲバ的組織から内ゲバ的人間はつくられる」という主張を批判し「自分たちの組織から内ゲバ的人間は作りだされない」と反論しました。しかしどのような根拠をもってそう言いきれるでしょうか? 佐藤氏に対して当日も五味さんは大きな声で激しく罵り、会場受付にいた私の目の前で佐藤氏を恫喝し彼にビラの提供を強要していたではありませんか。その激しいやりとりは会場のみんなに聞こえています。暴力またはそれを予想させるような恫喝によって相手を屈服させることを「内ゲバ」と言い、そのような事を正当と考える思想を「内ゲバ思想」というのです。五味さんのこのような行動を見ても彼を「内ゲバ的人間ではない」と言えるのでしょうか? 五味さんは83年に中核派の内ゲバ脅迫に屈服した事を自ら正当化し、現在は佐藤氏に対しても恫喝を繰り返しています。また五味さんばかりではありません。私は佐藤氏の桧町公園における行為は挑発的なものであったし、告訴行為は反動的であると思いますが、そうあったとしても、かれに「告訴」を決意させるような暴力行為を働いたのはBUNDの側でした。
 BUNDはその他にも多くの「内ゲバ的人間」を作りだしてきたと思います。佐藤氏自身の行為はまさに内ゲバ的であり、およそ共感を得るようなやりかたとは思えません。しかし、そのような人間へと佐藤氏をかえたのは戦旗共産同の組織だったのではないでしょうか。まったく無関係といえるでしょうか。そうした問題についても深く考えてほしいと思います。
 またロフトプラスワン事件については多くの目撃者がおり、「やっていない」「けがなどさせていない」とウソをつくのはやめるべきです。6日当日出席した人の中にもロフトプラスワンでの襲撃者がいたことは山本氏をはじめとする人々によって確認されています。ロフトプラスワンにおけるあきらかな「組織的行為」を「個人の感情」によるものといいくるめ、自分たちを「内ゲバ党派ではない」と居直り続けるならば、BUNDが普通の市民運動として社会的な信頼を回復する事はできないのではないでしょうか。かつては世界共産党最大の権威として崇拝されたスターリンはいまや最悪の共産主義者として非難の的となっております。虚勢によって作り出された党派はいつまでも維持できるものではないという事なのではないでしょうか。

●今後も考えていきましょう

 昨年2月の中核派機関紙『前進』紙上において清水丈夫は元反戦自衛官小西誠氏を名指しで「反革命」規定し打倒を呼びかけました。そして「検証内ゲバPART1」刊行を許さないという脅迫もしてきました。しかしその脅しにも屈することなく本の刊行と出版記念シンポジウム(第一回)は成功裏におこなわれました。しかし12月にはいると二人の元中核派幹部だった人が襲撃され、中核派に対する強い不信がひろがっています。今回の「検証内ゲバPART2」を記念する第二回目の出版記念シンポジウムはそうした環境の中で開かれたものであり、中核派はいわば今回の「陰の主役」でもあったと言えるかもしれません。
 ここでは主要にBUNDのみなさんとの議論を取り上げましたが、実際にはもっと多くのテーマにそってさまざまな議論がありました。わたしたちも、狭い領域に限定することなく党派や社会的思想のちがいをこえて、多くの人々が共に闘える共同戦線の構築のために、今後もいっしょに考えていきたいと思います。


※参考資料(当日会場にて各関係者から配布されたもの)

●機関紙「SENKI」1064号より小林義也の昼の顔と夜の顔(BUNDにより配布)
 http://www.bund.org/opinion/loft9.htm

●機関紙「SENKI」1084号より内田氏コメント(BUNDにより配布)
 http://www.bund.org/opinion/1084-4-2.htm

●機関紙「SENKI」1084号より最終弁論(BUNDにより配布)
 http://www.bund.org/opinion/1084-4-1.htm

●ブント清算事業団「SEISAN」第2号より(佐藤悟志氏により配布)
 http://www.tk3.speed.co.jp/wolves/ara-jiman.html

●ブント清算事業団「SEISAN」第2号つづき(佐藤悟志氏により配布)
 http://www.tk3.speed.co.jp/wolves/ara-jiman2.html

●ブント清算事業団「SEISAN」第3号より(佐藤悟志氏により配布)
 http://www.tk3.speed.co.jp/wolves/maedakouki-danzai.html

●内ゲバ廃絶のための私の提案(蔵田氏配布のものはこれをもとに改訂したものです)
 http://www.bund.org/opinion/1106-5.htm

※参考資料(上記に関連するサイト)

●機関紙「SENKI」より「人権を守る闘い」
 http://www.bund.org/home/rig.ind.html

●ブント清算事業団(佐藤悟志氏のサイト)
 http://www.tk3.speed.co.jp/wolves/jigyoudan.html

●ロフトプラスワン襲撃を許さない共同声明(BUNDによる暴行を告発するサイト)
 http://www.t3.rim.or.jp/~punsuka/

●機関紙「かけはし」より「内ゲバ一掃の闘いと現在」(当日参加した国富氏の報告)
 http://www.jrcl.net/web/frame03428d.html


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