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佐藤問題について
赤色土竜新聞第6号 2003.4.6

イメージイラスト(本文とは関係ありません)  

●はじめに

 BUNDによる『検証内ゲバ PART2』への公開質問状について語るためには、佐藤悟志氏についての見解も示しておかなくてはならないと考える。私は佐藤氏の思想の内容についてはあまり読んでおらずよく知らない。佐藤氏についてはロフトプラスワン襲撃事件についての情報と「ブント精算事業団」情報以外は伝聞として知っている程度である。しかし、蔵田氏への批判に関連して述べるにはそれで充分である。
 なぜなら私は、どんな言論内容であろうと批判者の言論の自由が完全に保証されていなければならないこと、したがって、それによって「逆規定された反批判者」も同じ言論手段をもって反論するべきであり、暴力的手段を用いる事は断じて許してはならないという事、また、その言論の成否を判断するのは大衆であって、大衆こそが「当事者」であるという点において、蔵田氏とは意見を異にするからである。

●佐藤氏の告訴は反動的である

 10月21日の桧町公園集会における暴行事件を理由とする佐藤氏の告訴によって、BUND活動家が逮捕された。私はこの事件についての裁判の推移や、その結果などに興味はない。また当日のBUNDの行為に対する批判もある。だが、佐藤氏によって起こされた告訴は反動的であり、佐藤氏が憎しみを抱くBUNDばかりでなく、大衆的反戦運動に対しても悪影響を及ぼすことを知るべきである。また証拠として提出されたビデオテープにどんなものが映っていたかに拘わらず、そのような警察に対する協力的態度は、集会参加者に対する悪質な挑発行為として糾弾されるべきである。

●なぜ佐藤氏は執拗にBUNDに絡むのか

 しかし、同時に、当日の桧町公園での出来事に限定して原告と被告と「どちらが悪いか」を論ずるだけでは問題の本質を見失うことになるだろう。佐藤氏はなぜこのように執拗にBUND諸君に絡むのか? それは最近始まったことではなく、ロフトプラスワン事件以前から続いている彼のBUNDに対する感情から出ているのである。そして、佐藤氏自身がBUNDの前身である「戦旗派」共産主義者同盟(日向派)に所属する活動家であったことにも注目しなくてはならない。そこからは、佐藤氏がかつては希望を抱いて戦旗派に加わり、そして失望のうちに組織を離脱し、それ以来BUNDに対する恨みを現在も抱き続けている姿が浮かび上がってくるのである。

●党派運動に青春を捧げた人々

 戦後、日本共産党・日本社会党の中から生まれた日本左翼運動は多くの青年大衆を獲得し、社会変革に向けた活動の場を広げていった。しかし、その運動は内ゲバ主義をはじめとするそれぞれの組織的弱点・欠点のゆえに組織の規模を縮小させ社会的大衆運動をも後退させながら多くの青年達を失望させ離脱させてきた。こうして今では組織活動に失望する運動経験者が現代社会のいたるところに存在するのである。
 内ゲバ研究およびシンポジウムに集うわれわれの中にもまた多くのそうした元組織活動者を見出すことができる。青春の輝かしい時代を組織と共に歩み、苦労を共にし、組織のために我がエネルギーを捧げてきた者たちにとって、その組織の問題は、組織をやめた現在でも、自分自身の生き方の一部として重大なかかわりをもつのである。例えば小西氏は中核派に、小林氏、蔵田氏は共産同に、もちろんまっぺんも第四インターに、それぞれの「こだわり」を持つ。それは単純な「賛同」「反発」といったような感情では割り切れない複雑なものである。
 激しい葛藤のうちに組織に対して恨みを抱いた者にとっての恨みの深さは他者からは測り知れないものがある。佐藤氏の一連の行動を「BUNDストーカー」と評価するのは正しい。しかしそれだけでは本当に佐藤氏を解明した事にはならない。

●内ゲバ党派に単独で挑む「党派闘争」

 佐藤氏はBUNDが参加すると思われる市民集会に登場し、ただBUNDに対する恨みだけを原動力として反BUND宣伝を続ける。この活動はいつまで続くのか? 佐藤氏はどのような「獲得目標」をこの活動の先に見出そうとしているのか? 果てしない先にはニヒリズムを見るばかりである。佐藤氏の主張はいまや歪みきっている。ファシズム崇拝を公然と宣言するような人物が日本において大衆的支持や信頼を獲得できるとは到底思えない。その事に気づいているのかどうか、それでも佐藤氏は個人的にこの行動を続ける。佐藤氏は分かっているはずである。BUNDの“体質”を考えるなら、必ずまた暴行や脅迫を受けるだろうということを。それでも執拗に反BUND行動を続けるのは相手の暴力を引き出す事を目的としているからであると判断せざるを得ない。これは佐藤氏にとっては「党派闘争」なのである。

●内ゲバ党派は内ゲバ的人間を創り出す

 私は佐藤氏の現在の「思想」について共鳴できないし、BUNDに的をしぼってこのような「党派闘争」を続けるのも意味のない事であると考える。また、このやり方は劣勢な側が「暴力を受ける」事を意図しておこなう「逆内ゲバ主義」とも言える方法であり賛成できない。しかし、佐藤氏のこのようなニヒリスティックな党派闘争の方法はブントから学んだ内ゲバ的組織論から生まれたものであることは小林氏の文書から容易に想像できる。幸いにして小林氏はそのような堕落した組織論から決別することができたが、佐藤氏はそこから脱出することはできなかったのだと言わねばならない。それは佐藤氏の人間的弱さであると言えよう。内ゲバ思想はこのように人間の弱さの中に定着し、組織を離れた後でもその人間を支配するのである。

●佐藤氏に忠告する

 BUNDが内ゲバ思想にまみれた党派であり「共産主義」を捨てた今も「内ゲバ思想」を捨てていない組織であることは、すでに多くの人々によって指摘されている。だから佐藤氏はもうこれまでのような方法と視点からのBUND批判はやめるべきである。それはBUNDのやり方であるに過ぎない。佐藤氏はBUNDにこだわるあまりに「自分」を見失い、自らBUND化していると気づくべきである。内ゲバ的党派闘争を捨てて、本当の意味でBUNDから決別し、自分の視点と生き方を取り戻すべきであると思う。

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でも結集してもなんにもないけど